将棋世界2015年3月号感想~衝撃のコンピュータ新手~

将棋世界2015年3月号感想~衝撃のコンピュータ新手~

 電子書籍版の「将棋世界」3月号を購入しましたので感想を書いてみたいと思います。
 2015年3月14日から「電王戦FINAL人類の、けじめの闘い。」が始まることもあり、コンピュータ将棋関連の記事も多く読み応えのある内容でした。特に「第64期王将戦七番勝負第一局」の観戦記は衝撃的な内容でした。

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「衝撃は2度やってきた。」~王将戦第一局観戦記~

最初の衝撃、コンピュータ新手

 渡辺明王将対郷田真隆九段の対戦となった王将戦第一局の観戦記です。王将戦は持ち時間8時間の二日制、重厚な棋風の両者の対局にふさわしい棋戦です。

 戦法は「先後同型の角換わり腰掛け銀」、昔からあまたの棋士が採用し、研究の末かなり枝葉に渡って「定跡」が整備されている形です。

 問題の局面は58手目後手6五歩の先手の応手です。

王将戦第一局58手目後手6五歩

王将戦第一局58手目後手6五歩

 ここで、同銀と取らずに先手5五銀左とかわす手が新手で「一つ目の衝撃」とのことです。私の棋力では残念ながら衝撃度の大きさを理解することはできませんが、素人目に見ても銀損ですし、後手の6五の歩が残るため、かなり指しづらい手だと思います。

 この「新手」、プロ棋士の研究会で検討されていたらしいのですが、最初に発見したのが森下卓九段で、コンピュータソフトに指された手だったとのことです。

2度目の衝撃、渡辺二冠がコンピュータ新手を採用

 問題の局面での先手の指手に注目が集まったわけですが、少考7分で渡辺二冠が着手した手は…、5五銀左!渡辺二冠がコンピュータ新手を採用した!これが二度目の衝撃です。
 後日のインタビューで、渡辺二冠が人づてに「コンピュータ新手」を聞いておられ、この手を指すために「先後同型の角換わり腰掛け銀」に誘導したとのことです。
 敢えて宣言される必要もないかと思うのですが、この「潔さ」が渡辺二冠の魅力ですね。

「ソフトの手だからどう、というのは特にありません。有力と思える手をこだわりで捨てていたら勝率は上がらないと思うからです。自分はこだわりよりも勝率を求めるタイプなので」

 勝負師として人間として素晴らしい方ですね。

 本局の勝敗は、113手で渡辺王将の勝ち。問題の「コンピュータ新手」以外にも見どころ満載の対局ですので、詳しくは本誌の対戦記をご参照ください。

3度目の衝撃、私のごく普通のスペックのパソコン+古い激指でも5五銀左が最善手に!

 私の自宅のコンピュータで2010年12月に発売された激指10を使って問題の局面を探索させると、5分ほどで5五銀左が最善手として表示されました。

5年前の激指でも5五銀左が最善手に!

5年前の激指でも5五銀左が最善手に!

 5年前のソフトというと、「かなり弱い」印象があるのですが(私は勝てませんが…)、それでもこの局面で5五銀左が最善手と読むんですね。コンピュータ恐るべし…。

升田幸三 実力制第四代名人関連記事も

 新手と言えばこのお方、升田幸三 実力制第四代名人関連の記事もあります。「イメージと読みの将棋観・Ⅱ」では、昭和52年の升田幸三九段対田中寅彦四段戦の局面がテーマに採用されています。

 「序盤のエジソン」こと田中九段が若かりし日に、升田九段に挑んだ対局。升田九段最後の勝局となった一戦で升田が放った妙手とは…。

 また、「-評伝ー木村義雄」では升田対大山の「高野山の決戦」のエピソードも紹介されています。

目次や検索機能も追加され便利になりました

 今回、Google Playで購入しPlayブックスで読んでみたのですが、以前は無かった目次テキストによる検索機能がついており便利になりました。

目次や検索機能がついて便利になりました

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